「気づかずに通り過ぎてしまう」ほどの擬態能力
ナナフシは、「棒のような姿」「ゆらゆらと揺れる動き」によって、
敵からほぼ完璧に姿を隠すことができる昆虫です。
草むらでじっとしていると、本物の枝と見分けるのが難しいため、
捕食者の目を欺く能力に長けています。
枝に似せるための3つのポイント
ナナフシが“枝にそっくり”になるためには、実は細かい工夫があります。
① 細長い体の形(形態の擬態)
体全体が細長く、節のように折れ曲がって見えるため、
木の枝と外見がほぼ同じに見えます。
② 茶色・緑色など周囲の色に近い体色(色の擬態)
季節や環境に合わせて体色が少し変化する種類もいます。
③ 風に吹かれた枝の動きをまねる(行動の擬態)
ナナフシは、じっとしながらも少しずつ揺れる動きをします。
これは、風で揺れる枝の動きを“演出している”と考えられています。
ナナフシは本当に動かないのか?
よく「ナナフシは全く動かない虫」だと思われがちですが、実際には:
- 夜になると活発に移動したり
- 葉を食べたり
- メスは単為生殖で卵を産む
など、普段はかなり“普通の昆虫”と同じように生活しています。
ただし、昼間の捕食者が多い時間帯はほぼ動きません。
なぜここまで擬態が進化したのか?
ナナフシは“食べられやすい体”をしています。
- 大きな武器がない
- 飛行能力が弱い
- 素早く逃げられない
そのため、「見つからないこと」こそ最大の防御 になりました。
擬態がうまい個体ほど生き残りやすく、
その形質が何代にもわたって受け継がれていくことで、
現在のように高度な擬態が完成したと考えられています。
実は「葉っぱ」に擬態する仲間もいる
ナナフシの仲間には、信じられないほど本物そっくりな
“葉っぱ型” のナナフシ(コノハムシ) も存在します。
こちらは
- 葉っぱのシワ
- 傷
- 虫食いの跡
- 枯れかけの色ムラ
まで再現している驚異の擬態能力を持ちます。
まとめ:ナナフシは「見つからないこと」に全力を注ぐ昆虫
- 形
- 色
- 動き
すべてを駆使して枝そのものに見せかけるナナフシは、
擬態の代表例と言える存在です。
生き残るための「究極の隠れ戦略」がここにあります。


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