深海で光る「チョウチンアンコウ」の不思議
真っ暗な深海で、頭からぶら下げた“光る器官(エスカ)”を揺らしながら獲物を引き寄せるチョウチンアンコウ。
あの光は一体どうやって生まれているのでしょうか?
じつは、チョウチンアンコウ自身が光っているのではなく、
「体に共生する細菌」が光をつくっています。
仕組み①:光をつくっているのは「発光細菌」
チョウチンアンコウのエスカの中には
発光細菌(ルシフェラーゼ産生細菌) が住んでいます。
彼らは
- 体内の化学エネルギー
- 酸素
- ルシフェリン(光る物質)
を使って、青〜緑色の光を発します。
つまり、
光の正体は “細菌の活動”
ということです。
仕組み②:アンコウは細菌に住処を提供している
では、アンコウにとって細菌のメリットは?
● 細菌 → 住む場所が手に入る
深海は栄養が乏しいため、安定した環境は貴重です。
エスカは細菌にとって“安全で栄養のある温室”のような場所。
● アンコウ → 光で獲物が寄ってくる
光に引き寄せられる小型の魚や甲殻類が近づいてきた瞬間、
アンコウは大きな口で一気に飲み込みます。
両者にとって利益がある関係
→ 「相利共生」と呼ばれます。
仕組み③:光の色が「青〜緑」に限定される理由
深海では、水によって“赤い光”はほぼ吸収されてしまい、
青や緑の光だけが遠くまで届きます。
だからこそ、発光細菌の光は
- 最も深海で届きやすく
- 最も“目立つ”
青〜緑に進化したと考えられています。
仕組み④:メスだけが発光器官を持つ種類もある
多くのチョウチンアンコウはメスのほうがはるかに大きく、
発光器官をもつのも メスだけ であることが多いです。
オスは
- 極端に小さく
- メスにかみつき、融合し
- 栄養をもらいながら精子だけ提供する
という、非常に特殊な生態を持つ種類もいます。
深海の過酷さの中で生き抜くための“究極の繁殖戦略”です。
まとめ:光の正体は「細菌のちから」
- チョウチンアンコウは自分では光らない
- 光をつくるのは共生する発光細菌
- 光は深海で最も届く青〜緑色
- メスのみ光る種類も多い
深海の暗闇で揺れる“小さな光”には、
生物の共生と深海の進化の歴史がつまっています。


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